2009-03-30

制作ノート:「夕坂童子」ミックス編

作業日時:
2009年2月2日 〜 2009年2月19日

ミックス現場:
於、studio Engine、plan-B

使用機材:
マイクプリ/DA M-AUDIO MOBILE PRE USB、Focusrite TrakMaster
DAW Apple Logic Pro 8、Ableton Live 5、Apple Mac Book Pro / Intel Core 2 Duo 2.4 GHz / 4GB メモリ

さて、録音した素材をまとめる作業。

アコーディオンのトラックに施した処理は、概ね以下を基本形とした。

<各チャンネルごとに施した処理>
◎Logic Compressor による、音量レベル感の調整
◎Logic Channel EQ による、EQ の調整
◎Logic Space Desginer による、音響感の調整

<マスターチャンネルに施した処理>
◎Logic Channel EQ による、全体の EQ の整理

コンプレッサーについては、もともと収録に使ったマイク(SEIDE)に真空管が入っているので、独特な粘り気のある艶っぽい音で、なおかつダイナミクスのある音でアコーディオンを録音することができていたので、その雰囲気を壊すことなく音量レベルの低い箇所を「持ち上げる」用途で使用した、という感じ。

基本形としては、Circuit Type は Platinum、Ratio は 19.0:1 付近、Threshold は -11.5db 付近、Attack は 152.0ms 付近、Release は 1200.0ms 付近に設定して、曲に応じて雰囲気は微調整した。

EQ については、録音状態が比較的素直だったのでほとんど変えていないが、コンプのせいで多少奥に引っ込んだ 65Hz 付近、および 12000Hz 付近をほんの 1.5db 程度持ち上げた。

この帯域は、小さなスピーカーで聴いても、音の重みと、鍵盤をたたいたときの弦の倍音感を出すために必須。

Space Designer は空間系処理のためのプラグインだが、以前の Mac の環境ではメモリや CPU の性能限界のためにせいぜい 2 チャンネル同時くらいしか使えなかった。そのくらい、処理が重い。

でもさすがにいまの Mac Book Pro の環境ではそんなことはなく、好きなだけ追い込むことができる。頑張って買った甲斐があった。世の中カネずら(そんなことはないが)

一曲だけあえて空間処理を行わず完全なドライのみ、としたが、ほかは曲の雰囲気によって Small Room 系、Midium Hall 系を使用。

さて、一部と二部を隔てるブリッジをアコーディオン以外の音で一つ作ることになり、これは僕が担当。

一部と二部とでは構成が変わるため、ブリッジで一部をリセットしたいという首藤さんの要望あり。

そこで、茫漠としてどことなくノスタルジックな雰囲気な楽曲を作ってみることにした。

Focusrite 経由で SM57 で拾ったガットギターをネタにして、ableton live 上で 5 トラックほどのループを作り、全てのトラックを再生タイミングと再生スパンを完全にずらしながら流し、各トラックに別々のエフェクターをかけ、オートメーションを仕掛けた。

各トラックの調性は大体 C9、A9 でそろうように演奏しておいたけど、音が発信されるタイミングは、ときどきわざと不協に聞こえるように調性した。

各トラックを1トラックずつバウンスし、それらを Logic に取り込んだものをベーシックトラックとなるようにレベルやパンをそろえた。

さらにその上にエレクトリックギターを使って主旋律ともオブリともつかない抽象的なフレーズをダビング。

バックトラックだけでかなり複雑なレイヤーに聴こえるので、エレクトリックギターのトラックにはシンプルに Logic に付属していたアンプシミュレータくらいしかかけなかった。

そんなこんなで、時折テープでリワインドした様なストレンジな効果音が入った楽曲が完成。

楽曲と楽曲の途中に入る雑踏などの効果音については、フィールドレコーディング特有のノイズの除去と EQ 処理を行った。

以上、全部で 19 トラックほどのバランスに関する処理は一週間ほどで完成した。

各トラックは、2 ミックスでバウンスしたあと Apple WaveBurner に取り込み、曲順、曲間の調整などを含むマスタリングにかけた。

幻燈パフォーマンスの都合上、トラックとトラックの隙間の尺が非常に大事であるため、マスタリングされた音源はそのまま CD-R に焼き、首藤氏宅のポストボックスに夜な夜な投函されたのであった(笑)

一曲だけ確認で聴いてもらうだけだったら、ネット経由だけでも良いんだけどね。

クルマで片道 30分の道のりは、マスタリングした音源の試聴にちょうど良かった。。

いまにして、この 30 分がとっても楽しかったなぁ。

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