2009-07-27

渋谷にて

時系列がおかしいが、数日前のこと。

坪田監督から直々に「美代子阿佐ヶ谷気分」上映前にミニライブを、との有り難いリクエストを受けて、昼下がりにギター片手に渋谷に移動。

劇場に一応マイクセットはあるとのことだったが、ひさびさにご一緒させていただく田渕純くんはきっと歌にリバーブをかけたいであろうということで、念のためハーフラックサイズのエフェクターも持参した。

早々に現地到着し、スタッフの方とお話してミキサー機材のマニュアルを拝見させていただいたら、モノは YAMAHA 製で、しかもちゃんとリバーブ機能がついている代物であった。

よかったよかった。

ということで、特にセッティングなどの準備をおこなう必要がなくなってしまい、本番までの二時間強の時間が空いてしまったので、会場であるイメージフォーラムの周囲をぶらぶらと散策することにした。


当日は朝から蒸す様な気候であった。

劇場についた時点ですでに汗だくだったのだが、ここは涼をとろうと思い、六本木通りを渡ったところにあった某チェーン系コーヒーハウスに入った。


・・・店内に入った瞬間に、いやな予感がした。

上着に着ていた、かりゆしシャツまで汗でびしょびしょの状態だったのだけれど、店内のクーラーの効き方が、これがもんのすごい。・・・殺人的に寒い。

ここにいたらこりゃ風邪引くな、と思い、アイスコーヒーを速攻で飲み干し、ものの 10 分ほどで出てきてしまう。

六本木通りから青山学園方面に向かってとぼとぼ・・と歩きつつ、さてこれからどーすんべな、と思っていたら雨がちょびちょび・・と降り出してきてしまった。

しょうがない、最初に見つけた喫茶店にでも飛び込もうと思った矢先、目の前に Jazz & Coffee の看板を発見。

で、迷わずとあるビルの地下にある、店に入り込んだ。

店内はジャズ喫茶っていうイメージからほどとおく、普通に明るくて健全な感じ。

ジャズ喫茶は不健全、っていうわけじゃなくて。

上野にあったイトウとか、渋谷の道玄坂にあった名前は忘れた店は、なんとなく薄暗くて気分が落ち着く感じだった記憶があるだけなのだけれど。


フィメイルボイスのボッサがほどほどに大きなボリュームで流れる中、厨房では夜のためのものか、何か料理の仕込みをやっているようだ。

さっきまで寒くてぶるぶる震えそうな状態だったので、むしろこの店のアットホームな雰囲気がありがたい。 それと、ゆるやかに流れるボッサが。

ホットコーヒーを注文して、静かに流れる名も知らないひとが奏でるブラジル音楽にじっ、と耳を傾けていると、何曲目かで僕の好きな曲がはじまった。

ブラジル北東部(ノルデスチ)が生んだ偉大なアーティスト、ルイス・ゴンザーガの「Qui Nem Jilo」(ほんとうは、「o」にはアクセント記号が付く)という曲。

リズムは、ほんの少しだけ北東部っぽいアレンジ。トライアングルが遠慮がちにチキチンチキチンと鳴ってる感じ。

ああ、いいねぇ。


実は、なぜだかわからないが、その日、朝から孤独な気分に陥ってしまっていた。

まぁ、身の回りではいまいろんなことが起こっているのだからそれもしょうがないのだけれど。

ルイス・ゴンザーガが作った楽曲そのものに、希望とか、活力とかを喚起させる、エネルギッシュなアティテュードに満ちあふれている。


このタイミングで、この曲、って、なんだか、いいじゃない。

気分がやんわりと軽くかるくなっていく。


で話はとんで、その後、本番を無事に終えることができた。

っていっても二曲しか演奏しなかったけど。

締めのところで純くんからいきなり飛び出た永六輔さんのものまねにずっこけながらも、やっぱりさっきのリラクゼーションは良かったなぁ、などと思いつつ、そのまま劇場に居残って映画を拝見させていただいた。


そんな、渋谷で過ごした一日。

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