昨晩、劇団唐組秋公演『姉とおとうと』を観劇してきた。
この芝居、上演時間がわずか 30 分程度の作品。
しかしながら、その短い時間のなかにこれでもか、というくらい、唐十郎さんの芝居のエッセンスが凝縮されていたように思う。
唐十郎さんのエッセンス、というのが、どうも僕の能力ではうまく表現しようがないのだけれど、ひとついえるのは役者に与えているセリフの面白さ。
幕が開いた瞬間から、唐さんによる言葉の魔術がたたみかけるように役者たちから発せられる。
30分間、ずっとそれが続く。
ものすごいテンションの高さのまま、芝居が進行していく。
あれだけマシンガンのような「言葉」を浴びせられていると、たった 30分の芝居を観ているだけなのだがたいへんに体力を要する。
目の前には生きている「言葉」があり、ぼくら観客は、舞台上で繰り広げられる世界を全力で受け入れざるをえない状況に追い込まれていく。もちろん、自然な流れとして。
「言葉」が生きている以上、それを「耳で聴いて」「頭で理解」しようとしては、遅れをとることになる。
芝居にのめりこむうちに、心が、気がつくと全開にさせられているのだ。
昨夜、あっという間にそれが起こった。
言葉、とは、ただ上手に伝えれば良い、というものではない。
いやいや、伝えるのは、言葉ではないのだ。
ニュースアナウンサーじゃないんだから、言葉を伝えてどうする、って話か。
いつものことだが、「表現」ってものの本質をガチで突きつけられた思いで、帰途についた。
高揚は、一日経ったいまでも続く。
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