2010-11-16

「士」と「師」

人様に、ぼくが「なんなのか」を説明する場合、つまりぼくに「肩書き」というものを付与するとしたら。

自分で自分に肩書きを与える、というのは、つまりは「わたしはコレです」と世間様に対して宣言する、ということである。

ギターを弾くことにかけては人よりも秀でていると自他共に認められる人なら「ギタリスト」だし、依頼とあればスラスラと五線紙にオタマジャクシをしたためられる人なら「作曲家」だ。

で、ぼくはなにやってる人なのだろうか。

ギタリスト、っていうと、例えば Allan Holdsworth とか John Scofield とか Django Reinhardt とか寺内タケシみたいな方々なら、異論なくそう呼べる。

作曲家だとぼくなら武満徹とか伊福部昭とか Philip Grass とか吉田正をイメージしてしまう。

では、音楽家、だとすると、作曲もやるし、歌も歌うし、いろんな楽器の演奏もやるひと、ってことになるのかな。
それだと、渡辺勝さんを真っ先に思い描く。
大尊敬している勝さんはたしかに、目標にしているけど、でもやっぱり僕は音楽家か?、っていうとなんか違う。


「それで生活をしている」というやつがその人の肩書きとなるのだろうけど、ここではそれはちょっと脇にどけておくことにする。 

ここで考えているのは、自分をどう世間様に宣言するかっていう話だからさ。


で、色々考えていたら、ある彫像をやっている方が「私は彫像家、と呼ばれることに抵抗がある」と仰っていた。
「家」とつくのはどうやら「作家」という呼ばれ方をされているようで嫌だと。
流木や、里山で切られてきた余り木を素材にして彫像されているその方は、素材と対面して実際に彫ってみるまでは何が出来上がるのかわからない、と云う。

その人にとって「作家」とは、クライアントからの依頼があれば仕事としてモノを作る人、というイメージがあるらしい。
何ができるかわからないものにとりかかっている以上、自分は作家ではない、と。

で、「家」はいやだけど、「師」ならなんだか職人をイメージさせるから、「彫像師」がいいな、と言っていた。

なるほど。


そのアイデアを拝借して、ぼくは自分の肩書を「音師」だとしたら、なんだか良い感じだなぁ、と思った。
ただ、字づらにちょっと、違和感。
「師」は師匠/マスター、ってことなんだな。
それは、違う。そんな偉そうなもんじゃないし。

では、「音士」としたらどうか。
「士」は「つかえる」ってことでしょ。 うん、これが良いかな。 武士の士、でもあるしね。

音士、シューヘイまたはシューペイ。 なんだかしっくりきた感じ。
これから、コレ使おうかな。


ただ、「音士」ってなんですか?と訊かれた場合の説明のめんどくささを考えると、ここはやっぱり「ギター弾いてるシューペイです」と日和ってしまいそうで怖い。

2 件のコメント:

向日水ニャミ子 さんのコメント...

名刺を作るときにあれこれ考えました。。
結局〝ボケ担当〟ってのに落ち着きましたが…

多分、何やっている人かは分かりづらいですねぇ。。。

まぁ、追々。

Shuhey Yam さんのコメント...

それは肩書きというよりも役割?
それでも通じれば良いですよね、、^^;