2011-06-17

「ひやりん児」

劇団唐組第四十七回公演「ひやりん児」を観た。
明治大学での特別公演と花園神社で迎えた千秋楽の二公演を観劇。



稲荷卓央さん演じる豆腐屋「尾加良(おから)」が、たった一丁の豆腐を浮かべただけの屋台を引きながら、その豆腐の落ち着く先を求めて彷徨う様を下敷にした話なのだが、交差する人々との関係が禍いしてかたちを崩した豆腐は、最期は尾加良自身の手で完全に粉砕されてしまう。

唐さんのお芝居には何かしらカタストロフィが描かれるのだが、今回ほどそれが切なくて、切なさの先にある儚さや尊さ、力強さが身に迫ったことはなかったな。。

花園神社では屋台崩しの向こうに真っ赤な鳥居が突如現れ、それを確認した途端、身体全体が震えた。

明治大学公演では気田睦さん扮する山伏(?)による前口上ですでにホロリときて開演15分で涙腺が壊れた。
花園では終盤近くまでずっとげらげらと笑って観ていて、こんなに楽しい芝居だったのかと驚きつつ油断していたらラストの15分で大泣きしていた。あはは。
同じ芝居なのになんでこうも印象が変わるんだろう。
このお芝居に限らず毎回、不思議。

「また、お逢いしましょう」という、楽日を締めくくった唐さんの一言に真っ直ぐに惹かれてしまい、四方に散ってゆく雄姿たちの影に魅せられてまた大泣き。

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