2015-11-24

ビデオ

熱が下がり、起き上がれるようになったので、録画しておいた映画やドキュメンタリーをひたすら見る。

ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス 50年の挑戦
メディアはかくあるべし、などというつもりはないが、少なくともロバート・シルヴァースという純然たる知の追求者がイニシアティブをとるNYRBという雑誌は、相対的な真実などという曖昧な事物などではない、いわば「絶対的ドメスティックな真実」とでも呼べるような情報を発信している、数少ない良心的な媒体であることに間違いはない。そこに記載されている記事は、掲載される前に徹底的に議論され、吟味される。しかし記事が世に出た後でもその文面には議論の余地が生まれ、伝説となるほどの紙面上の議論がいくつも生まれる。大衆が安易に欲しがりがちな「たった一つの解答」などというものは、この多元的な世界にはあるはずもなく、しかし物事の本質を見抜くその知力は、これまでにいくつかの重要な「大いなる欺瞞」を暴いてきた。売れる雑誌なんて作るつもりはなかった、というシルヴァースの信念はいまでも鋼でできた杭のようにしっかりと地に打ち込まれている。「雑誌では世の中は変わらない。しかし思索という雰囲気は作ることができる」という言葉が沁みる。

「ノンフィクションW 暗黒のアイドル、寺山修司の彼方へ。~「月蝕歌劇団」30年の挑戦~」
主催者がいう「暗黒の宝塚」というキャッチコピーどおりの活動をしている月蝕歌劇団。その高取英氏は、当時は天井桟敷よりも状況劇場が好きだった、という。しかし自身は寺山の根城に居候し、やがて寺山の作品を上演する劇団を持つことになる。そこは別にアナロジカルに考えるところではないかもしれないが、どうしても寺山作品が苦手な俺にとってはなんだか示唆的な話だ。

「贖罪の街」
フォレスト・ウィテカーはほんとに上手い役者さんだと思う。この人とジェイク・ギレンホールの「困った時の八の字眉」は世界遺産に登録した方がいい。

「遠い空の向こうに」
そのギレンホールの「困った八の字眉」を堪能したくて、もう何十回目だかの鑑賞。しかし何度見ても素晴らしい。全てがよく出来た映画。

「誰よりも狙われた男」
フィリップ・シーモア・ホフマンの、鼻で息する高血圧そうなデブっぷりが凄い。「情報局の攻防もの」としては凡庸なストーリー。

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