2018-10-24

大家さん、バッグ屋さん、ホセインさん、見学

朝、ホテル北川の屋上で一服。



シャワーを浴び、身支度をしていると階下でなにやら物音が。



階段を降りてみると、年配の女性が「あんただれ」という目で俺を見上げていた。

ああ、おそらく大家さんだ、とすぐに気がつき、電話で北川くんにヘルプ。電話を大家さんに渡し、北川くんから事情を説明してもらう。

とっても温厚で、優しそうな大家さん。素敵な方でした。


ところで、紗和子ちゃんを通じて知り合った近内恵子さんから、「日本の慶九さんに渡してほしいものがある」と連絡をもらっていたのだが、あいにくもう俺のスーツケースは容量オーバー。というか、まだ買い物系を全部済ませていないうちからこの有様なので、急遽バッグをもう一つ買うことに決めた。

そのことを近内さんに告げると、ならばホームステイ先のイラン人と一緒に俺を迎えに行って、そのままカバン屋に行きましょう、となった。

昼前、約束の時間ちょうどに近内さん、彼女のホームステイ先のホセインさんが連れ立ってやってきて、一緒にタクシーに乗ってゴレスタン宮殿近くにあるバッグ屋ばかりが集まっているエリアに向かう。

ところが、向かうタクシーの車内で近内さんが「そういえばわたし一個バッグ余ってるわ」というので思い切りずっこけたが、とりあえずバッグ屋街まで行くだけ行ってみる。


目的地に着くと、ちょうどこの日の通貨レートが発表される時間帯であったらしく、銀行の前は人でごった返していた。この時間を逃すともう紙幣がなくなってしまい、両替が難しくなるらしい。



街には、ラボーという、ビーツを甘く煮たものや、そら豆の煮物の出店が出始めていた。季節的にこれからどんどんこういう店は増えるらしい。



そら豆の方にはぶどう酢がかかっており、ちょっとだけ唐辛子のピリ辛感があって美味。かんぜんに酒の肴である。が、あいにくここでは酒は飲めぬ。

さらに、生ざくろジュースの店もあった。日本では考えられないほど贅沢な味。超美味。




タクシーに乗り、テヘランの西側にあるホセインさん宅へ。近内さんからバッグをいただいたらすぐにお暇しようと思っていたのだが、イランではそうはいかない。ホセインさんのご家族からも、ぜひお昼を食べていきなさい、とお誘いをいただく。

お言葉に甘え、絶品のチキン料理をご馳走になり、日本好きだというホセインさんと日本の話をあれこれ。どうやら車の中で島倉千代子の「人生いろいろ」を爆音で掛けたりしているらしい。すごい。ハードコアである。


呼んでいただいたタクシーに乗り、シャヒード・モファテ駅の近くまで移動。



ちょっと早めについたので小洒落たカフェに入り、レモネードで一服。珍しく英語が普通に通じる店員さんがいて、しかも店内にはジャズが流れていた。しばし、心を空に浮かせる。




北川くんと落ち合い、タスニーフのレッスンを見学させていただく。

もともとモザイク画家だというナーデル先生は、いかにもアーティスト然とした自由奔放そうな風貌の方。セタールを弾きながら、いろいろなタスニーフを次々と北川くんに歌わせる。ああ、「歌」を教える、というのはこういうことなのだなぁ、と、見ていて感心することしきり。

それにしても、先生のご自宅のなんと豪勢なことよ。。




続けて、ナーデル先生のご自宅から歩いて20分のところにあるマンションの中にある音楽教室に移動。

到着すると、年配の男性がマンションの喫煙所でタバコを吸っており、北川くんを見つけると「サラム、シュウイチ」と声をかけてくる。 実はこの方が、俺のイランでのホストになってくれた北川くんのタールの先生、イーラジ・ダシュティザーデさんであった。 北川くんに訳してもらいながら、今回のことをお詫びしつつ、感謝の気持ちを伝える。

さて、タールの教室で授業が始まるのを待っていると、ダフレッスンの1日目に車で送ってくれたナザニンさんが。 そういえばナザニンさんはこの音楽教室でカーヌーンを教えていらっしゃるんだった。 ところが、隣の教室で子どもにトンバクを教えるところだから、見学に来ない?という。 えええ、、トンバクの先生でもあったのね。。

さっそく、小学3、4年生くらいの男の子にトンバクを教えている現場に潜入。。。  



子ども向けの教則本は俺も持っているのだが、ここで使っているのも絵本のようなかわいいデザインで、叩きながら「歌える」よう、簡単な歌詞が添えられていた。この教則本、どこで売っているのか聞けばよかった。

インスタなどで、トンバクの先生が子どもにトンバクを教えている映像はよく見ているのだが、こうして現場を見ているとなんだか涙が出そうになってしまった。自分たちの文化を、大人が子どもにきちんと伝えるということが、なんだか羨ましく思える。 もちろん、日本にだってそういう場はあるのだろうけれども。

ナザニンさんから、よかったらあなた教えてあげてくれない? と振られ、おおっ、とたじろぎつつ、初めての教則本を見ながらえーとこの記号ってどっちの手のどんな叩き方だ、とか悩みつつちょっとやってみたが、ものの 30 秒ほどで先生にバトンを戻す。。苦笑。。 


さて、イーラジ先生のタール授業。 先生はとてもおおらかで、決してプレッシャーをかけない教え方をされる方。 北川くんの授業はかなり上級編で、後ろで聴いているこちらはつい足でリズムを刻んでしまう。 おっとっとっと。。笑




音楽教室の近くで、アルメニア系のファストフード店に入り、アルメニアン・サンドイッチ?ホットドッグ? みたいなのと、シャムス、という商品名のノンアルビールで打ち上げ。



北川宅に戻り、早めに就寝。




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