2010-09-13

電車にて / 「シルビアのいる街で」

日曜日。

嫁さんと、渋谷で映画を観ようとなり、昼過ぎに電車で移動。

日曜日にしては比較的空いていた車内だったけど、つり革で立って乗車。

僕らの背後側に、小学校 2 〜 3 年生くらいの女の子と、その母親がやはりつり革につかまっていた。

しばらくすると、女の子がつり革にぶら下がって遊びはじめ、だんだんとぼくらの方に揺られてくるようになった。

最初は、しゃあないね、と思っていたが、女の子がぼくにがんがんぶつかり、あたかも、ぼくがそこに立っていてはもっと揺れたくても揺れることができないじゃないか、といわんばかりにまでエスカレートしはじめたので、「後ろに人がいるんだからもうやめてくれる?」と声をかけた。

でその子はどうしたかというと、僕をこの世で最悪な大人の見本のようにギロっとにらみ、ものっすごくわかりやすくふてくされやがった。

連れの母親はというと、ぼくにたいする詫びなんか言わないのはもちろん、女の子を慰めるような素振りをしている。

それを見たぼくと嫁さんは苦笑するしかなかったのだが、おなじ駅で降りた女の子は改札を抜けるまでずっとぼくと睨んでいたのに気がついて、さすがにムっとしたな。

こういう場合、僕の感覚では「親の教育が云々」ってことになるんだけど、どうもいまの世の中って「子供の立場をどうこう」っていう傾向があるでしょう。

その観点からすると、僕の行動のほうが社会通念上間違っていたことになると思うんだけど、どうなんですかね、そんな社会って。


さて、そんな出来事のあと、イメージフォーラムで「シルビアのいる街で」。


実は、ここでも、ちょっとした出来事があった。


予告編が流れはじめてしばらくしたあと、どうもスピーカーからジリジリと接触不良のようなノイズが出始めた。

せっかく「クレイジーハート」の静かで素敵な音楽が流れているのに、ジリジリジリジリというやや高周波なノイズが気になってしょうがない。

で、誰も動かないので、しょうがないからぼくが席を立って受付のスタッフにノイズのことを告げに行った。


しばらくすると、別のスタッフが場内にそっと入ってきて、状態を確認してくれていたのだが、スクリーン上ではいよいよ本編が始まろうとしていた。

ああ、今回は諦めるしかないか、とかなりテンションが下がっていると、本編が始まって 3 分ほどしたあたりで急に映画が止まり、客電が点いた。

すかさず場内アナウンスで「音声にトラブルが生じたため、一旦上映を止めさせていただき、再度本編の先頭から上映いたします」と。

おお、ありがとう、イメージフォーラムよ。

10分近く中断したあと、今度はクリーンな音響で上映が再開。

いざ本編が始まってみると、「街の音」が作品の中でかなり重要な要素であったので、これはノイズなんか乗ったまま上映されたら俺、かなり激怒してただろうな、と思った。

ていうか、金払って観に行っているんだから、劇場としてベストのコンディションで作品をかけてくれるなんて、当たり前のことだわな。


それにしても、けっこうお客さん居たのに、誰もノイズが気にならなかったんだろうか。

いまだに小学生レベルの可聴範囲を維持できているくらい驚異的に耳が良い大友良英さんほどではないにせよ、まぁ僕も耳は商売道具なのでそれなりに自信はありますよ。

でも、あのノイズはそんな大げさな話じゃなくて、かなりはっきりと耳障りだったと思うんだけど。

百歩譲って、僕がちょっとだけみなさんよりも抜きん出て耳が良かったんだとしたら、これから僕が創る音楽、少し考えなおさないといけないかもしれない。

僕が微弱音だと思っている音、他の人にはまったく聴こえてないってことだから。

あるいは、まるで「実は地球が動いてるんですよ」ってことを口走ったがために磔刑にされるのを忌避するかのごとく、「スピーカーからノイズがでてる」ことを遠慮深く憚っていたのだとしても、これはこれで問題。

その行為は、まっとうな状態で映画を鑑賞する権利を放棄している、ってことだから、だったら映画館に行く必然性がなくなるし、それは映画館が不要だと言っているのと同じことだから。

ホームシアターがどうだとか言っても、何十人規模で人が集まって一か所で同じ作品を、時には隣の客のポップコーンの匂いに悩まされながら、時には他人の目を気にしつつ涙しながら、それでもやっぱり映画館の大きなスクリーンで、大きな音響で、映画を見るってことがぼくはこの世で一番まっとうな状態で映画を観るということだと思う。

映画館側だって、自分たちの存在意義はわかってるはず。

だから、映画館内の機器にトラブルなんて、無くて当たり前。

万が一トラブルが起こったとしても、それを改善してたもれーよ、と劇場に言いに行くのはもっと当たり前だと思うのだが。



で、「シルビア〜」。 これはもうほんとに素晴らしかった。

環境映画、というか。

ドキュメンタリーとかフィクションとかいうジャンルでは語れないような作品だと思う。

街並みの切り取り方がとても素敵。

嫁さんは、「旅が好きな人にはこたえられない映画だよね」って言っていた。

旅があんまり好きじゃない嫁さんは、ということは、言わずもがな、ということですな。 汗

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