2018-10-31

土産

朝、いつものように猫たちに起こされ、身支度して仕事へ。


おそらく、ふつうの日本人にとってイランやトルコは「危ない国」。

みんなから「よく帰ってきたな」などと言われつつ、あの超絶乱暴なタクシーや劣悪な大気に負けず、よく日本に帰ってこれた、とは我ながら思う。


夕方、チェシュメへ。

土産や北川くんからケリーさんに宛てて預かってきたものを渡す。


夜、帰宅。

車で嫁さんと三鷹のバーミヤンに行き、ラーメンで夕餉。

普段の三倍増しでラーメンが美味い。



2018-10-30

帰国

夜、ほぼ定刻どおりに成田着。

地上に出てみると、ものすごく乾燥していて、ものすごく寒い。


リムジンバスに飛び乗り、調布まで戻り、駅からタクって帰宅。

久しぶりの我が家はやっぱり心地良し。


風呂に入り、コンビニでビールとラーメンを買ってきて一人打ち上げ。


深夜、床に就いて気絶。

2018-10-29

イスタンブール

早朝というか真夜中、定刻どおりに離陸し、2時間ちょいでアタテュルク空港に到着。

かつて知ったる、というわけで、さっさと入国審査を通り、タクシー乗り場でまずは一服。

すると 2人連れのポリスに職質を受けてしまった。 おまえ、ナニ人だ。 日本人です。 ここでナニしてる。 友達んとこに行く前にヤニぶっこいてます。 友達んとこにはどの足で行く。 メトロで行こうと思ってます。 そうか、メトロはもう動き出してるからさっさと行きたまへ。

おまわりがうっとおしいのは万国共通か。


北川くんから貰ったイスタンブールのメトロカードをありがたく使わせてもらい、あらかじめ連絡をもらっておいた歩ちゃんの住まいを目指してメトロに乗り込む。 イスタンブールの電車車内の雰囲気は、どこか東京と似ている。 乗客はみんな表情が暗く、活気がない。 ちょっとだけ、テヘランのあの熱気が恋しくなる。

アタテュルクを出て二つ三つほど駅を通過した直後、地下鉄を走っていた車窓の風景がいきなり地上に変わり、丘陵に点在するモスクと、丘陵と丘陵の間に拡がる海!の鮮やかなパノラマが目に飛び込む。 その、あまりの美しさよ。 イスタンブール、すごいな。


最寄り駅に到着し、地上に出てみるといきなりマクドナルドの看板。 テヘランでは外資系の飲食チェーンは皆無だったので、ここはあそことは別の国なのだ、と実感。 そして、ものすごく久しぶりに空気が美味い。苦笑


無事、歩ちゃん宅に到着し、北川くんから預かってきたダフのソフトケースから土産のサンギャク(笑)を取り出し、渡す。 まさに狂喜乱舞していただけてなにより。笑


チャイやコーヒーをご馳走になり、イランの土産話などしつつ、シャワーを借りてテヘランの排気ガスを洗い流し(笑)、さっそく歩ちゃんの引率でイスタンブールの街へ。


ミニバスに乗り、港近くの広場へ。 わー、海だ!




広場では、わんこもにゃんこもにんげんも、みんな平等に朝日を浴びてリラックスしている。



みんな、気持ち良さそう。


さすが、港町。 魚市場があった。



ああ、魚くいてえ、と思いつつ、「イスタンブールのブランチ文化」というものを体験するため、歩ちゃんに連れられてとあるレストランへ。 ちょっと遅い朝ごはんの定番メニューで朝餉。



チーズも野菜も揚げたパンも、ひとつひとつが個性的で美味。 そして、西洋と中東の交差点だからか、味付けは西洋的でもあるし、中東的でもある。 面白い。

そして、どこを向いても猫がかならず視野に入ってくる。 もう、いろいろがたまらなく愛おしい。




このレストランを歩ちゃんに教えてくれたのは、歩ちゃんの友人のイラン人で、この近くで音楽教室をやっている方。 さっそくその音楽教室を訪問。



ファルハード・シドファールさんはとても気さくで親切な方。 歩ちゃんから俺の紹介をしてもらうと、ここでもオスタード・バフマン・ラジャビの話になる。 やっぱり師の影響力は大きいのだなぁ。

二人とも太鼓叩けるならセッションやろうぜ、という流れで、ファルハードさん:サズ、歩ちゃん:ダフ、俺:謎の太鼓、という組み合わせであれこれセッションして遊ぶ。



ほっといたら何時間でもやっちゃうやつで、めちゃ楽しい。 


教室を後にし、路面電車に乗ってソフィア大聖堂付近まで移動。 




昼過ぎ、小洒落たオープンテラスのカフェを見つけ、日の明るいうちから生ビールで乾杯。



と、そこへ隣の店の方から流れてやってきた、流しの楽隊が。 



チップを渡すと、ユーの名前なんてーの? と訊かれ、シューヘイ、と答えると俺を礼賛する歌(たぶん。)を歌ってくれた。笑 

ダラブッカのおじさんが、俺の傍にあるダフに目を留め、いっしょにやろうぜ、みたいなことをいうので控えめな音量でダフを一緒に叩いていたら、店員さんにふつうに怒られた。笑


地下宮殿に行ってみる。 




この付近には大聖堂やらモスクやら地下宮殿やら路面電車やら芝生で寝てるわんこやらがこれでもかとあるので、1日居ても飽きない。 



また小洒落たカフェに入り、チャイと水タバコで一休み。


夕方、ガラタ塔の付近まで路面電車で移動。 




楽器屋さんなんかもある商店街を抜け、飲み屋をめざしつつ、ぶらぶらと散策。




で、やってきました、飲屋街。 




歩ちゃんオススメの、ソテーしたタコを肴に、白ワインで乾杯夜の部。 タコはガーリックが効いていてめちゃ美味。 白ワインはクセがなくすっきりとした喉越し。 普通だったら一本いけるなぁ、これ。。。


もう一軒いこうぜ、と、渋いウェイターのおじさんが迎えてくれる、渋いインテリアが素敵なバーへ。 




1日、歩ちゃんのナイスなツアーコンダクトのおかげで、ごくごく一部ではあるけれど、イスタンブールという街を存分に堪能する。ほんとうに素敵な街でした。

歩ちゃん、次は日本で、かな? また会いましょう!


飲屋街近くでタクシーを拾い、アタテュルク空港へ。


ベンチに座っていると寝てしまいそうになるのをなんとか堪え、日が変わって真夜中、成田行きに無事搭乗。


2018-10-28

ヘルミ再訪、タジュリーシュ、音楽教室巡り、テヘラン最後の夜

朝、北川くんを見送り、身支度を始める。

ここで、ちょっとした問題発生。 ひさしぶりにかなり重い便秘に罹っていた。 とりあえず水分を摂らないと、と、あるだけのペットボトル水をがぶ飲みするが効果なし。 もっと水分はないか、と探すと、冷蔵庫の中に残っていたノンアルビールを発見し、それも一気飲み。 下っ腹をばんばん叩いたりタバコを吸ったりヒンズースクワットをやってみたりしているうち、1時間ほどかかってようやく安産。。 辛かった。

そんなことで余計な時間を食ってしまい、慌てて準備を済ませ、タクシーを拾ってヘルミを目指す。

が、タクシードライバーのおじいちゃんには不案内なエリアだったらしく、車を停めては道行くひとにヘルミの名刺を見せて「ここどうやって行くんだ?」と訊きまくる。。 ありがとう、おじいちゃん。

しかし、朝飲みまくったノンアルビールのせいで放尿欲がむらむらときてしまい、もうすぐ噴水ショーが開幕するかも、、という寸前になってようやく目当ての場所にたどり着いた。 ギリギリセーフ。。



「トンバケスタン」のピンポンを鳴らし、玄関を開けていただくなり、「トワレット、コジャースト?」(トイレ、どこですか?)と、「旅の指さしペルシア語」に書かれていた例文を棒読みしてすぐに厠へ直行、でことなきを得た。

地下にある工房に通してもらい、職人のホセインさんが黙々と作業する様子を見学させていただく。

たしか昨日、ヘルミーさんの話では「ウチでは一個に 10分もかけないぞ」とおっしゃっていたと思うのだが、実際には 10分間に 3個の皮張りを終える勢いであった。



皮の湿らせ具合、糊の量や塗り方、皮の固定の仕方など、つぶさに観察させていただいた上、張る時のポイントとなる要所では実際にその部分を触らせてもらえた。これはかなり重要な情報として伝授させていただいた。

ありえないくらいの貴重な現場を拝見させてもらい、ホセインさん、お店の方々に丁寧にお礼を伝え、ヘルミを後にする。


ヘルミの周辺を少しだけ散策。




昼前、タクシーを拾ってパークウェイまで移動し、いったん BRT に乗ったのだがあまりの渋滞でバスはまったく動かず。 途中下車して 10 分ほど歩き、「International Centre for Persian Studies」(Dehkoda)に到着。

ここ「デホダ」に通う紗和子ちゃんと落ち合い、歩いてタジュリーシュへ。

「Shemroon Kabab」という店に入り、豪勢にキャバーブで昼餉。



朝から何も食べていないし、「栓」が抜けたあとでもあり(笑)、かなりの空腹状態ではあったが、無理しないと完食できないほどの量であった。 完食したけども。


バザールの中心にあるショッピングモールに移動し、6F のフードコートに行ってみると、先日の盲目のタール奏者がちょうど演奏している最中であった。



一曲演奏が終わり、投げ銭を入れに行こうとしたとき、フードコートのお兄ちゃんが盲目のタール奏者に「ご飯の用意、できたよ」と呼びにきた。 じっと成り行きを見ていると、お兄ちゃんは、集まったお金を胸ポケットに仕舞ったタール奏者の腕を支えて食事が置かれたテーブルまでエスコートし、奏者が席に着くと右手にナイフ、左手にフォークを添え、「ゆっくり食べてってね」とかなんとか言ってその場を離れていった。

ああ、なんということでしょう。 この光景を見ていて、また泣かされてしまった。 


先日、ナーセープール先生のお宅まで歩いている時に見つけた「偽アップルストア」でお茶でもしようかと、紗和子ちゃんと散歩がてらぶらぶらと歩く。

ところが、着いてみるとなんと映画の撮影にお店が使われており、今日は一般客は入れないとのこと。



事情を教えてくれたプロデューサーだか監督だかわからないけどとにかく責任者っぽい方と話していると、その方いわく、「映画はシリアスな内容のもので、日本人の建築家の役をやってくれる役者を探していたんだけど見つからず、中国人の役者に頼んだんだよ」だそうだ。 ほう、それを日本人の俺に言うか。


ふたたびバザールまで歩いて戻ると、盲目のタール奏者が今度はストリートで演奏をしていた。

紗和子ちゃんと縁石に座り、しばし彼の演奏にじっくりと聴き入る。

すると突如、紗和子ちゃんが「あっ」と叫んだ。 何が起こったのかと思ったら、通りすがりの浮浪者が、タールのケースに置かれていた投げ銭を一掴み握りしめて立ち去ろうとしていたのだった。 

あっ、と俺も息を呑んだ瞬間、近くの路上でサングラスを売っていた若者が浮浪者に駆け寄り、握っていたお金をサッと奪い取り、タール奏者に寄っていって「ここで演っていると盗まれるぞ。 早く仕舞えよ」 とかなんとか声をかけ、タール奏者は礼を言って戻って来た金を懐にしまうとまた演奏を続けたのであった。

ものの 10秒もかかっていないあいだに起こったこの奇跡のような現場を目撃してしまい、俺はまた泣いてしまった。 このタール奏者に泣かされたのはこれで3度目。


夕方、もはや馴染みとなったカフェに入って一服。 そこに仕事を終えた北川くんも合流し、まずはタジュリーシュバザール内にある、シャムスアンサンブルに所縁のある楽器屋に行きましょう、となった。

ん? バザールにはもう何度か来ているけど、楽器屋なんてあったっけ?

と思ったら、馴染みのカフェの裏側出口を出てすぐの、かなり死角になっている奥まったエリアにその店はあった。 びっくり。



ここは、バーレースターンの楽器屋「アーレフ」やヘルミとは違い、ちゃんとショウウィンドウもある普通の楽器屋なのだが、やっぱり単独では見つけられなかったなぁ。

店主の方に、紗和子ちゃんが探している音楽教室の候補になりそうなところを教えてもらい、さっそくバスに乗ってその音楽教室に移動。

北川くんが、教室の担当者や先生方と紗和子ちゃんとのやりとりをサポートしている間、俺は待合室で待っていた。 すると、いずこから「バハーレ・デルキャシュ」の歌声が聞こえてきた。 もうすぐテヘランを後にするというこのタイミングで、なんだか贈り物をいただいてしまった気分。 ほんとに良い曲だし、この時歌っていた先生や生徒さんの声もとても素晴らしかった。


教室を後にし、歩いてすぐのお店に入ってイスタンブールの歩ちゃんへの土産にサンギャクを購入。



しかし、でかい。 買ったお客さんは、店の前にある台の上で、慣れた手つきで持ち運びやすい大きさに折り畳み、さっさと帰っていく。


タクシーに乗り、紗和子ちゃんをお住まいの近くまで送り、北川くん宅に戻る。


荷物をまとめ終えると、寂しさが襲ってきた。


北川くんには、この一週間ほんとうにお世話になりました。 こんな素敵な旅になったのはすべて北川くんのおかげ。 また、日本で会いましょう、ととりあえずのお別れをして、タクシーに乗ってエマーム・ホメイニー空港へ。


夜中、がらん、とした空港で、特に何もするでもなく、ぼうっと放心したまま、イスタンブール行きの搭乗時間を待つ。



調布、雑司ヶ谷