2011-06-17

「ひやりん児」

劇団唐組第四十七回公演「ひやりん児」を観た。
明治大学での特別公演と花園神社で迎えた千秋楽の二公演を観劇。



稲荷卓央さん演じる豆腐屋「尾加良(おから)」が、たった一丁の豆腐を浮かべただけの屋台を引きながら、その豆腐の落ち着く先を求めて彷徨う様を下敷にした話なのだが、交差する人々との関係が禍いしてかたちを崩した豆腐は、最期は尾加良自身の手で完全に粉砕されてしまう。

唐さんのお芝居には何かしらカタストロフィが描かれるのだが、今回ほどそれが切なくて、切なさの先にある儚さや尊さ、力強さが身に迫ったことはなかったな。。

花園神社では屋台崩しの向こうに真っ赤な鳥居が突如現れ、それを確認した途端、身体全体が震えた。

明治大学公演では気田睦さん扮する山伏(?)による前口上ですでにホロリときて開演15分で涙腺が壊れた。
花園では終盤近くまでずっとげらげらと笑って観ていて、こんなに楽しい芝居だったのかと驚きつつ油断していたらラストの15分で大泣きしていた。あはは。
同じ芝居なのになんでこうも印象が変わるんだろう。
このお芝居に限らず毎回、不思議。

「また、お逢いしましょう」という、楽日を締めくくった唐さんの一言に真っ直ぐに惹かれてしまい、四方に散ってゆく雄姿たちの影に魅せられてまた大泣き。

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2011-06-14

Stringraphy

ストリングラフィライブの模様を、渡辺タケシくんが撮影してくれました。(ありがとう~)



ストリングラフィは、要するに「調律された糸電話」。
ソプラノ、アルト、バスの各パートごとに縦に音階を並べた三つのブロックがあり、全体的に As-Dur(変イ長調、 Aフラット・メジャー)に調律するのだが、なにせ糸電話。ちょっとした湿気や気温の変化で調律がどんどん変わる。
リハの時は A=435Hz で合わせていたのだけど、本番直前にエアコンをがんがんにかけて会場の気温を下げ、A=445Hz で調律しなおしていた。
10Hz違うとそうとうピッチは変わるのだが、チューニングが必要な大抵の楽器とのコラボっつったらそりゃもう気が狂うほどややこしそう。



・・・といいつつ、復弦でただでさえチューニングが面倒くさいバンドリンを持っていってしまった間抜けな自分。
案の定、本番でオブリで使おうと思っていたけどほんの4小節分くらい弾いてみたところで敢えなく撤退・・・

徳久ウィリアムくんのフレキシブルな「声」とストリングラフィとの相性はさすがにベストマッチだった。
ウィリアムくんのホーメイや多種多様のヴォイスに、モモさん、もとこさんらによるストリングラフィが時には呼応し、ときにはまた別の世界を作りだし、それはもう面白かったな。


ぼくはみんなが出すいろんな音にほんのちょっとの味付けを行ってみた。


もちろん、生の音たちがそれだけでも世界を持っているので、こちらがやったことというとところどころで音響的な「相の手」を入れる、という感じ。



終演後の打ち上げも楽しかった。

今回のイベントタイトルには「ラボ」と謳われていたけど、ポジティブなベクトルを持った「実験」は、やってみる価値は絶対にある。

この類稀な楽器の「実験」に呼んでくれた鈴木モモさんに感謝!

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2011-06-13

雑記

5月からずーっと何かしら動いていてなかなか落ち着かない日々だったけど、昨夜花園神社で劇団唐組公演の千秋楽を観劇し、例によって涙腺が壊れて大泣きしたところでいろんなことが浄化/消化され、今年前半戦の折り返し地点をやっと確認することができたのだった。
それにしても、最近はそもそもアルコールの摂取量が落ちていたし、焼酎は芋焼酎しか飲まなかったので、久しぶりにいいちこを生で飲んだら腹の底から暗黒エネルギーが噴出してきたみたいで、参った。



5月は、自分が企画したライブも含めて「人前(または裏)でなにかやる」のが三つあったのだが、今月は生演奏の音響操作を、ときどきエフェクターによる音場の変容も加えながら行う、というのをやらせていただいた。
その昔、超有名なダブエンジニアが某バンドのライブでダブをやっているのを聴いたことがあるけど、ディレイの飛ばし方が全然あってなくてとっても格好悪かった。
やっぱり葉っぱやりながらじゃないとああいうのは難しいのかな、などと思ったことがあったのだが、そんな話は俺のこととは全然関係がない。
ブラックコーヒーとロックスターでオメメパツチリ、ノーミソ爽快な体調でライブしたのは5月も同じだし、今月のもそう。
ライブの前には何も食べないのも全部同じ。
ただ頭は聡明な状態なのだが、季節柄、古傷が痛み出しちゃって若干、満身創痍気味。



猫の茶助は完全に甘えんぼさんになってしまった。
とにかく俺が行くところどこにでもついてこようとする。
ただ、風呂場のドアを閉めようとしていたときに前足を軽く挟むというちょっとした事故が起こってから、洗面所/脱衣室から奥には入ろうとしなくなった。きっとあの事故はトラウマになっちゃった。
俺の作業部屋にはまだ入れていない。
この部屋はきっと茶助にとっては遊び道具や隠れ場所の宝庫だろう。
わかっちゃいるけど、狭いところにたまった埃をきちんと掃除するまでは入れられない。
細い隙間の奥にもぐりこんで埃の山に顔をつっこむせいで、結膜炎がなかなか終息しない。
おかげで目に軟膏をつけてやるのはもうずいぶんと慣れた。

2011-06-06

(お知らせ) 今週末、Stringraphyと声のライブに音響+アルファで参加します

2011/6/11(土)、鈴木モモさん主催のライブに参加します。

鈴木さんはかれこれ16年ほど前から「ストリングラフィ」という楽器の奏者として、ストリングラフィ創始者の水嶋一江さんらと共に活動してきた方。

今回は、通常4~5人で演奏するフォーマットではなく、もっとミニマムな形態でストリングラフィを演奏することでこの楽器の違った面を掘り起こしたいということからこの企画が立ち上がったそう。

この企画に参加することが決まってから二度ほど、水嶋さんや鈴木さんをはじめとしたレギュラーメンバーによる演奏を聴かせていただく機会に恵まれたのだけれど、何度聴いても不思議な響きの音と、良い意味でおよそ楽器演奏らしくない奏者の佇まいとが相まって、これがほかではちょっと味わえない楽しい経験なのであった。

この楽器について、ここでああだこうだと解説するよりも、実際にその場に来ていただいて観て聴いていただくのが一番。

ライブの詳細は上記のリンクを参照してください。

あまり広くない会場なので、確実に座って観たい方は予約メッセージ宜しくです。