2009-11-07

THIS IS IT

ご仏前をお供えするつもりで観てきた。

気がつけば、たまたまではあるけれど、ここ最近観た映画が三本続けて音楽もののドキュメンタリーになってしまった。


ミュージシャン、ダンサーのひとたちが、かなり可哀想だと思った。

彼らには、「MJ と一緒にリハーサルを経験できた」という思い出は残っただろう。

でも、リハーサルはあくまでリハーサル。 本番ではない。

熱狂する大観衆の前で、MJ と繰り広げる悦楽のステージを共有するという体験ができなかったことは、彼ら共演者にとってトラウマになるのではなかろうか。

これは、ものすごい時間とカネをかけた素晴らしい前戯のみで、実際には絶頂を迎えることができなかったセックスと同じだ。

あれだけ多幸感が詰まったリハーサルを経験しているだけになぁ。。


Human Nature がかなりフィーチャーされていたのは、嬉しい驚きだった。

MJ が作った楽曲ではないし、Thriller や Beat It、Billie Jean に比べれば当時のヒットチャートとはあまり縁がなかった曲だからだ。

かの Miles Davis は 80 年代当時、この曲を指して「いまおれたちが演奏すべきスタンダードはこれだ」と言っていたそうな。

そんな逸話は抜きにしても、純粋に名曲だと思う。

あの怪物アルバムの中で、この曲が一番好きだ。

THIS IS IT の中でこの曲を歌う MJ の声は、まるで天使のようだった。

あのスキャットのシーンで、思わず涙がこぼれてしまった。

あまりに儚く、美しい声。


とても 50歳とは思えない身体の動きの冴えと、歌声。

演奏のリクエストに的確に応えるバンマスや、自分を気遣うスタッフらに対する「ありがとう」という台詞を、Thank you と表現せず、God bless you、と表現する MJ に、あらためて心からリスペクトを送る。


R.I.P. MJ


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