降りそうで降らないとぎれとぎれな雨雲で地表の蒸気が抑え込まれているが、それでもここ数日にくらべて幾分か涼しい。
夕方、雑司ヶ谷で「楽屋」稽古。
音楽の場合、よほどのことがない限り、共演者と幾度も稽古を重ねるということはない。
よほどのことがもしあったとしても、芝居ほどの回数を設けることはない。
楽器を自由に演奏できるようになるまで、ひたすら黙々と個人練習は繰り返すが、アンサンブルのための稽古は、むしろどちらかというとあまり回数を設けたくない、ということが多い。
演奏家が日々演奏の鍛錬を行うことで表現力を高めるが如く、役者個人の力量というものはなにがしかの訓練によって鍛えられるものなのだろうか。
しかして、音楽は、芝居のように全体稽古を毎日繰り返すことで向上する何かを期待できるのだろうか。
鳥山組に参加するようになって三年経つが、いま再び楽器を奏でることに向かい始めたことは、芝居の空気の中にいることとどこかでリンクしている。
そして、ここ最近何年かぶりかでメタルを聴くようになった。
それも、途中で何拍子なのかわからなくなるほど複雑さを極めた、プログレメタル。
ギター、ベース、ヴォーカル、ドラム、それぞれの力量が尋常でない高さにあって初めてアンサンブルが成立する音楽だが、おそらく死ぬほどアンサンブルの練習は繰り返していると思われる。
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