2012-12-25

壊

もうすぐ2012年が終わる。


西田幾多郎の研究をしているという、以前通っていた合気道の先生に訊いた「あること」が、ずっと脳裏にある。

禅では、一度「悟った」ことは、どんどん忘れるのだそうだ。

「悟っている」状態は、維持しない。


なるほど。

悟った、という「記憶」も、もしかしたら要らない、というのが良いかもしれない。


楽器の演奏力は、同じことを日々延々と繰り返すことで向上する。

昨日できなかったことが、今日ふっとできるようになっている、ということが、往々にしてある。

できなかったことができるようになったら、それに固執するのはやめてほかのことにトライしてみる。


去年から始めたフレームドラム[枠太鼓]の練習を、今年は本格的にやりはじめた。


この一年は、フレームドラムの練習、という行為を通して、禅のようなことをずっと繰り返していた。

2012-11-05

リバーヴ

過日、某ホールコンサートの音響仕事を終えてきた。

キャパ600人弱の、いわゆる小〜中ホールの部類なのだが、そこにはなんとベーゼンドルファーのフルコンサートが常設してある。

そんなものを置くくらいなので、きっと室内音響は素晴らしいんだろうな、と思ったら、期待ほどではなかったけどまぁまぁ素晴らしい残響があるところだった。

楽器は、ベーゼンのフルコンのほかにチェロとバイオリン。

それなりに鳴るホールなので、本番ではぼくは卓リバーヴはほとんど入れなかった。

2012-10-30

自分のことを説明するのが難しい

公園とか河原の土手なんかでフレームドラムの練習をしていると、興味を持ったひとからよく声をかけられる。

でいろいろ訊かれるのだが、「なんでその楽器を始めたの?」という質問が、一番答えにくい。

一言で言ってしまえば「面白そうだから」、ではあるのだけれど、それはものすごくいろんなことを端折った結果なので、話の始点から毎回考えてしまうぼくにとってはそのひとことが咄嗟に出てこない。


それは、去年の地震のあとのある日、急に「丸い形をした楽器を触ってみたい」と思ったのがきっかけだった。

なんで「丸い楽器」なのか、それはいまでもよくわからない。

たぶん、形が一番美しいから、とか、月のようだから、とか、後付けでなんとでも理由はつけられるけれども、そのときの、ひらめきの瞬間の気持ちはいまもってうまく説明できない。


結果的に、木でできた枠に皮を張っただけの、このとてもシンプルな「フレームドラム」という楽器に出会い、それ以来ほかのことはすっかりほったらかしてこればかり練習するようになってしまった。


言葉が巧みなひとだったら、自分の内面の説明をもっと上手にできるのだろうに。






2012-10-29

夢日記

アフリカで制作されたドキュメンタリー番組を観ている。


どこかの種族の族長が、二人の幼い息子を連れて吹雪の中を徒歩で移動している。


「吹雪」が、「猛吹雪」に変わったとき、族長に手を引かれ歩いていた小さい方の息子の体力が尽き、雪中に倒れ込んでしまう。


族長は、小さい息子ののど笛を、ナイフのような鋭利な刃物で切り裂いてしまう。

吹雪の中を、血しぶきが噴水のようにあがる。


やや先を歩いていた大きい方の息子は、後ろを振り返るとたったいま弟の身に起こったことを知り絶叫している。


族長は、大きい方の息子にナイフのような刃物を持たせ、血しぶきをあげている小さい方の息子めがけて大きい息子の身体ごとを投げつける。

大きい息子が持たされた刃物は、小さい方の息子のどこかに突き刺さったらしく、最初につけられた傷からの血しぶきの勢いが、徐々に弱まる。


族長は、小さい方の息子の傍らに跪き、血を噴き出している口に自分の人差し指を差し込み、小さい方の息子の血の味を確かめるように、自らの口に運び、じっと小さい方の息子の顔を見つめている。


テレビの画面に、次のようなテロップが映る。

Nja Con Con
(やがて、息は静かになった)


猛吹雪の中、族長とその幼い息子の大きい方の二人は、呆然と立ち尽くしながら、亡骸を見下ろしている。

2012-08-09

変か?

変化。


暫くの間、自分のライブや制作をお休みしてます。

いま、ちょっとだけ新しいことに挑んでいて、今度じぶんのライブや制作をやるならこれでいこう、と思ってます。

いまはひたすら、練習の日々。


新しいことを始めるのに、きっかけ(気分)は大事かもしれないけれど、年齢(肉体)は関係ないな、と思うことしきり。

たぶん、どんなことにでも当てはまる。

ような気がする。



それと告知ですが、

今月、写真家首藤幹夫さんの個展「影めぐり」の一環で幻燈上映の音を担当します。

ぜひ。


2012-05-09

雑記

この連休の初頭に、車を飛ばして大阪に行ってきた。

大阪で初演を迎えるのが恒例となっている劇団唐組の春公演を観劇し、小川紳介監督の映画作品二つを鑑賞してきた。


唐組は新作『海星~ひとで~』。

人間のある部位をめぐり、取り留めもなく妄想が錯綜する導入部はいつもの唐組のお芝居、、、、と思って油断していたら完全にやられてしまった。

今回の作品では、かなり思い切りよくいろんなものをブッ壊していた。

「ぶっ壊す」ということに、あそこまで果敢に挑んでいた唐さんをはじめとした唐組ってほんとに、、、、。

カーテンコールの後、大阪でしか観られなかった開き切った屋台の果てにひろがる光景が美しかった。


故・小川紳介監督の作品は『三里塚・五月の空』と『1000年刻みの日時計 牧野村物語』を鑑賞。

そもそも今回の大阪行きは「1000年~」が観たくて実行に及んだわけだが、「三里塚~」は観ておいてほんとによかった、と思う。

ドキュメンタリーを撮る小川さんは、そこはかとなく、愛情の塊の人だった。

「1000年~」については観たのが今さらながら、とにかく衝撃の連続。

今回の大阪行きも前触れなしだったにも関わらず、またしても大変にお世話になってしまったEさん、寝不足気味にもかかわらず東京から同行したSさんらと、いま観たばかりの映画についてあれこれとお話しできたことがなにより素晴らしかったな。

わずか二日間の大阪滞在だったけれど、観てきたもの話したことのすべてがドッシリと積もった、たいへんに有意義な旅だった。


で大阪に行っている間、我が家に新しい家族が増えた。

茶トラの「ふわ吉」、2012年2月18日生まれ。

一匹だけっていうのは以前にも経験していたが、多頭飼いは初めての経験。

いまこれを書いている時点で彼が来てすでに十日経つが、まだ一匹目もぼくらも、試行錯誤の真っただ中である。

家族そろって猫合戦。

2012-04-13

夢日記

調布市在住の80'sニューロマンティック系バンドのリーダーから、ギタリストで参加してほしい、という連絡が入る。

バンドのほかのメンバーは?と訊くと、ベーシストはフレットレスベース担当のR(実在)だという。

Rと一緒に演奏できる、というそれだけの理由で二つ返事で了解し、ライブ当日の段取りを確認する。

ライブ当日、調布駅南口の音楽スタジオだけが入ったきれいなビルにある、ライブハウス「P2スタジオ」に向かう。

ビルに入り、リハーサルスタジオが並ぶ廊下を抜け、目指す「P2スタジオ」に到着してみたら、そこだけゲネプロ用の施設なのだろうか、客席まで用意された綺麗で大きなハコであった。

バンドリーダーが、今日は80'sな衣装でお願いします、と急に告げたが、そんなこともあろうかとピンクのだぶだぶなスーツを着てきていた。

姿見で確認しても、まぁこの衣装だったら文句ないだろう、と勝手に納得し、控室の下の階にあるロビーに向かう。

そこはマクドナルドを改造して作ったライブハウス専用のバーカウンターで、フライドポテトだけは食べ放題だという。

やがてベーシストのRが到着し、「今日どんなのやる?」というので、俺もフレットレスギターでアンビエントやろうと思う、と告げ、二人で「いひひひひひ」と笑う。

昔バンドのマネージャだったという女の子が寄ってきて「このバンドはいろいろ大変だよ」、と云う。

大変なバンドはいくつも経験しているので、まぁ大丈夫だろうと思うよ、と返答したところで夢が終わる。